忘れられた頃に更新するこのブログ。
もう、誰も見ないと思いつつも忘れた頃に更新する自分。

小さなニュースを見てちょっと思う事あったので更新。

「人生再設計第一世代」政府検討――。

就職氷河期世代を「人生再設計第一世代」とか、エヴァンゲリオンに出てきそうな「人類補完計画」じゃないんだからと思いつつも、そういったアニメを青春時代に見てた人がちょうどその世代に当たる。
自分もその世代だからどういった時代だったかは判っている。

「8050問題」、或いは「7040問題」にも当てはまる世代。
「中年ひきこもり」、「無敵の世代」とも言われ、「自己責任」で今そうなっているとも言われる人達。

その人達の高校卒業時、或いは大学卒業時、地方にはまず職が無い、都会に出ても職が少ない、企業は入社説明会すらも開かず、あっても今年の新卒は1人か2人が限度だとか、倍率1.00を切っただとか、100社以上の企業で就職活動して1社受かれば良いとすら噂されていたものだ。
そしてそれが当たり前だった。

しかしその親達は違う。
良い大学に行けば、良い企業に受かり、一生安泰――。
だから勉強しろ、良い成績を取って、良い大学に行けば、良い企業に入れて、高給取りになれる。
そのような考えの親達ばかりだった。
その頃は若者であった、現在での「就職氷河期世代」はそんな親にも反発し、今はもうそんな時代じゃない、雇ってくれる企業は無い、と考えていた者達も多く居た。
特に、並程度の成績で、平均よりちょっと良い程度の大学出身者達にはそれは顕著に表れた。
自己責任、と言われるが、大学で学んだ事とは全く違う職に就いたものがほとんどだ。
そして、じゃあ大金を使って、大学に何しに言ったのかと親世代に問われる。
仕方なしに転職をしようとして、転げ落ちる人達を見てきたものだ。

運が悪かった、と言えば、自己責任だろ、と返ってくる。

今、大学に行っている人に問いたい。
「今やっている勉学や研究は、その後の就職、仕事には何の影響も無いですよ」
そう言われたら、どう思うだろうか。
もしも、令和元年に、リーマンショック以上の不景気が再び来たら?
或いは、いずれ来ると言われている、南海トラフや首都直下の大災害が起きて、行きたかった企業が無くなったら?
それで就職に影響が出ても、自己責任と言えるのだろうか?

災害は自己責任じゃないだろと言われるだろう。
しかしあの超就職氷河期は自己責任なのだろうか?
もちろん、まっとうに勉学に励み、進むべくしてエリートの道を突き進んでいる者達には敬意を表するし、それだけ頑張ったのだろうとも思う。そこは否定しない。
或いは天職を見つけ、地道にその道に励んできた者達も同様だ。

だが、あの頃はそこに運の要素が多分に含まれていたと言う事実がある事は大いに否定できない筈だ。

仮に上述のような何かしらの大きな社会問題が起き、今現在の若者たちの就職に影響したとしても、おそらく、就職氷河期世代にはこう言う人は居るだろう。
それはその中で就職できなかった自分らが悪い、自己責任だ、と。
何故なら就職氷河期世代はそう言われ続けてきたからだ。
全てが自己責任。
ならば同じような事が起きても、それは自己責任なのだと刷り込まれた。

不謹慎な言い方かもしれないが、その世代でも、特に辛い思いしかしていないような人達は、あの東日本大震災の被災者にすらも言うかもしれない。
自己責任だ、と。
津波の被害がどれだけ想定外であったとしても、だ。

運が悪かった、想定していなかった。
それは就職氷河期世代でも同じだ。
そんな想定はしていなかったのだ。
だからこそ言ってしまうかもしれない。

あの大災害にあっても、常に防災意識を持ち、自身の危機管理能力で無事に避難し、その後も努力し、現在はある程度普通の生活が出来ている人達も居る。
そうなれなかったのは自己責任だと。

運良く助かった、運良く時代が良かった、運悪く被災した、運悪く不景気だった。
どう違うのだろうか?

今の生活が全て自己責任だと言うのなら、それすらも自己責任。

2018年11月に起きた安田さんのシリア拘束での出来事で、多くの自己責任論が出たのは広く知られているはずだ。
メディアでも自己責任論に関して色々と討論されていた。
あの自己責任に対して色々な議論が出た理由は、実はその就職氷河期時代に多くの者達が自己責任だと言われ続けているからではなかろうか。

そして、今になって、政府が「人生再設計第一世代」と称し、何か企てている。
災害が起きて、20年ほど経ってから、そろそろ被災者がやばいから何かやろうか、と言っいる事に等しい。
あの世代は災害レベルの事をずっと強いられてきた。いや、今もまだ、これからもずっとだろう。

災害で亡くなった方の命は戻らない。
生きていればいつか良い事がある、かもしれないが、もうあの若さ溢れる年ごろには戻れない、戻らない。
使い捨て扱いをされ続けてきた日々を送り、心身を壊した者達に、あの日はもう戻らない。

そのような人生を送ってきた就職氷河期世代は、「結局は自分でなんとかするしかない」。
私たちは、「人生再設計第一世代」などではない。
既に設計は、自分たちでやっているのだから。
あとは、席が空くのを待っているのだ。

私がうつ病になったのも、自己責任。
そのような会社に自分から入ったのだから、自己管理が出来ていないから。能力が無いから――。
あの時「自己責任論」を唱え始めた者達は今でもそう言うだろう。

就職氷河期世代が言われる自己責任と言う言葉。
その言葉を広義にしたのは他でもない、就職氷河期で人を切り続けた者達だ。

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